― 人員配置・紹介料・日雇い問題から考えるこれからの介護 ―
介護の現場では、慢性的な人手不足が続いています。
求人を出しても応募が来ない。
やっと採用できても、数か月で退職してしまう。
この流れを、どれだけの事業所が繰り返しているでしょうか。
■ 給与が低いから人が来ないのか?
介護の給与は、一般職と比べて低いと言われてきました。
国は処遇改善加算などを設け、賃金を引き上げる努力をしています。
確かに、以前よりは改善されつつあります。
しかし現場の感覚としては、
「大きく変わった」と言えるほどの結果にはなっていない。
そう感じている方も多いのではないでしょうか?
■ 仕事量の多さと疲労の連鎖
介護の仕事は、ご高齢の方の生活を支える仕事です。
食事、排泄、入浴、移動、記録、家族対応、会議…。
やるべきことは非常に多く、責任も重い。
人が少なければ残業が増えます。
忙しさが続けば疲れがたまります。
疲れる
↓
休みが休みにならない
↓
体調を崩す
↓
退職する
こうした流れが、実際に起きている現場も少なくありません。
■ なぜ無理をしてでも人を入れるのか?
事業所は、人員配置基準を守らなければなりません。
もし基準を満たせなくなると、売上が大きく減算されます。
ケースによっては、約30%の減算が続くこともあります。
改善するまで減算が止まらない。
これは経営にとって致命的です。
だからこそ、時給が高くても派遣や紹介業者を使わざるを得ない。
しかしその結果、職員2~3人分の費用を支払うことになる場合もあります。
さらに、その方が3か月、6か月で退職したらどうなるでしょうか?
また紹介。
また高額な費用。
この繰り返しです。
議会でも「紹介料が高すぎる」「介護の財源が本来と違う方向へ流れている」という議論が出ていると聞きます。
現場の苦労は、別のところで利益に変わっている現実もあるのかもしれません。
■ 日雇い・スポット人材は本当に現場を救うのか?
最近では、介護現場にスポットワークの方が入るケースも増えています。
人がいない現場からすれば、
「来てくれるだけでありがたい」というのが正直な気持ちです。
しかし施設の場合、
入居者一人ひとりのADL
既往歴
転倒リスク
性格や生活習慣
これらを知らなければ、安全なケアは難しい。
もし、慣れていない職員が対応中に事故が起きたら――
利用者様だけでなく、その職員自身の心にも大きな傷が残ります。
経験のない方であれば、なおさらです。
「もう介護は無理だ」と思ってしまうかもしれません。
現場を助けるための仕組みが、逆に人を遠ざけてしまう可能性もあるのです。
■ 守るべきものは何なのか?
人員配置基準を守るために、
経営者は苦しみ、
現場は疲れ、
本来続けてほしい職員が離れていく。
この構造は、本当に健全なのでしょうか?
もちろん基準は安全のためにあります。
しかし今の制度は、
「人がいない」という現実に対して
十分に対応できているとは言い切れないのではないでしょうか?
■ 介護保険制度は岐路に立っている
給与の問題だけではありません。
働き方
人員基準
紹介料の在り方
スポット雇用の安全対策
介護保険制度そのものが、大きな見直しの時期に来ているのではないでしょうか?
私はそう感じています。
■ 最後に
介護は、人の人生を支える仕事です。
現場で汗を流している職員の方々が、「続けたい」と思える環境でなければ、
この仕事は未来に続きません。
制度のための現場ではなく、
現場のための制度へ。
今こそ、本気で考える時期に来ているのではないでしょうか?
